カビは私たちの日常生活に潜んでいる存在であり、知らず知らずのうちに私たちはカビの胞子を吸い込んで暮らしています。空気中にはいたるところにカビの胞子が浮遊しているのです¹。特にエアコンの内部でカビが増殖していると、エアコンが稼働するたびにカビの胞子がまき散らされます。まるでエアコンが「カビ製造機」のようになり、住人はより多くのカビを吸い込むことになります。
屋外の浮遊カビ数は、空気1m³あたり100~200と言われていますが、室内の浮遊カビ数はその2倍であり、汚染がひどい場合は5倍以上にもなることがあります。カビを吸い込み続けると、健康被害につながる恐れがあります。ただし、カビの健康リスクは人によって異なります。被害を受けたときの症状の軽重も個人差があります。
健康な人であれば、過剰な心配は無用です。深刻なカビの病気にかかることはまずありません。なぜなら、カビは病原細菌よりも10~20倍も大きいため、人の細胞や組織に侵入しにくいからです。仮に侵入できても、通常は体外に排出されます。ただし、呼吸器系の疾患やアレルギーを抱えている方、または病気などで免疫力が低下している方は注意が必要です。カビにより既存の症状を悪化させたり、新たな疾患を誘発したりするリスクが高まります。免疫系が未発達な乳幼児や、免疫力が衰えている高齢者も、なるべくカビを吸い込まないように気を配るべきです。カビの予防法として、こまめな掃除や換気、除湿を心がけることが大切です。